七瀬クンとの恋愛事情
執務室に呼ばれたのはどうも、私だけではなかったようだ
仕方なく、高科課長について部署を出た
「説明してくれるかな、昨日の事を。あっちは大変恥をかかされたと言っているんだが」
元々余興だと言っていたのは専務なのに、結果私が思い通りにならずやらかした事に、
少々………いや、鈴木さんはかなりご立腹らしい
高科課長と二人で、宗馬社長を前に軽く頭を下げた
そして、まず昨日の仕事での打ち合わせから料亭での会食での出来事を話した
「もともと今後の個人的なお付き合いをするつもりはありませんでしたから…」
私の言い出しに高科課長がすぐさま一歩前に出た
「すみません、ああゆう状況で松原さんを勝手に連れ出した僕の責任です。松原さんに非はありません」
そう言った高科課長に、私は一先ず話の流れを任せることにした
「先方はかなり納得いかないらしく、仕事内容を減らすとも言ってきているんだぞ」
ご立腹なまま溜まりに溜まった言いたいことを吐き出すように、社長の隣で憤る専務を横目に
高科課長も顔を上げ、専務を見据える
「お言葉ですが、ああいう場所で年上男性の先方と女性社員との二人だけの会食というのは、如何なものと思いますが?」
ハッキリとした口調でそう言うと、少し専務の顔が引きつった
「ま、松原くんと先方は以前知り合っていると聞いていたし、ちゃんと釣書付きの身元もハッキリした正式なお見合いだっただろ?」
正式にお見合いなんて、今初めて聞いたんですけど?
私には、あくまで余興だと言ったのに
「………松原は以前会った事なんて覚えいませんし、これからの仕事相手として仕方なく臨んでいただけで、その気はないと話が出た時点で言ったはずですが」