七瀬クンとの恋愛事情


任せて欲しいと、昨日の状況を正確に主張出来るところは、さすが営業マン

こうゆうとこが、彼の後輩から信頼される人間性だと思う


「営業として僕がお会いした鈴木さんは、かなり松原に好意的でした。この場合、立場の弱い松原が交際を求められて簡単に断ることができますか?」

高科課長は、ゆっくりと専務から宗馬社長へと視線を移した


「こんな風に松原を追い込んでどおするんですか?宗馬社長」

さりげなく社長へそう詰め寄った課長を、
私は黙ったまま隣から見上げた


「…………」


「仕事内容については、これから昨日の謝罪を兼ねて水嶋建設へ行ってきます。決してこれ以上失礼のないように穏便に解決してきますので」


え、これから行くの?!


「だったら私もっ………」

「僕が一人で行ってきます」

張り上げられた課長の声に、私の言葉はあっさり遮られた


「………わかりました、ではそれには私も同行します」

「え…?」



静かに口を開いた宗馬社長が、課長と二人で先方の鈴木さんのもとへ出向くことになった





「ときに高科くん、先方へ行くにあたってハッキリさせたいのだけど……」


ひと段落した話の後に、改まって宗馬社長が問いかけてきた
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