七瀬クンとの恋愛事情
「ふたりはその………いつから付き合いだしてたんですか?」
「は…?」
ああそうか、恋人設定はまだ続いているんだ
専務がいる手前、実は嘘でしたとは言えないし
「それは鈴木さんにも言いました。お見合いの話が出た後からです」
自分の決めた設定にしれっと応える高科課長
「そうか、本当につい最近なんだな」
「……はい」
疑うような目を向ける専務に対して、柔らかい笑顔を見せる宗馬社長に、心臓がザワザワと騒ぎ出す
きっと、嘘ついてるからなんだ………
そんな自分の心臓を、ギュッと押さえ込んだ
執務室を出て、一旦高科課長と部署に戻る途中
「課長、すみません私のせいで……でもよかったんでしょうか、こんな状態で」
結局私は何も言えなかった
すべて課長が説明から謝罪まで、まるで責任を負うように淡々と話をしていたのを、横で聞いてるだけだった
「なにも倫ちゃんのせいじゃないだろ?
もともとあんな勝手なお見合い話を持ってきた社長や専務が悪いんだから」
そう言っていつものように私の頭を撫で回す
「でも、事業内容を減らしてきたって………」
やっぱりはじめから頑としてお見合いの場を突っ撥ねていればよかったのだ
中途半端に仕事と絡めた私のせいだ
「その辺もちゃんと話すために今から社長といくんだろ? ここから先は営業の仕事だよ。
倫ちゃんはこれから向こうが納得する仕事をしてくれればいいから………」