七瀬クンとの恋愛事情
「要はお前でも止められなかったって事だろ? じゃあ俺だって付け入る隙があるってことだ、出遅れたが告白はさせてもらったし」
「告白?」
「倫ちゃんに聞いてないのか? 俺がお見合いに乱入したことは聞いてるみたいだったからてっきりその後のことも聞いてると思っていたが」
目を細め俺を見る高科課長
「…………」
「結婚やその先の将来だって俺には彼女に用意出来るからな、お前と違って
出遅れて順番が遅くなっただけだ、俺はこれからの結果に自信がないわけじない」
「っ……!」
俺もさすがに少し感情的になって課長を見下ろし、お互い睨み合いが続いた
だが、今その課長の得意げな物言いに反論する言葉が見当たらない
「七瀬くんっ」
いつの間に社長との話が終わっていた倫子さんが、俺たちに駆け寄ってきた
社長との会話が聞こえなかったのと同様、たぶん俺と課長の会話も聞こえてないだろう
「どうしたの?何かあった?」
昨日、あんなに俺が素っ気なく帰ったのに、会社ではやっぱり普段通りなんだな
仕事モードでしっかり目を逸らさず俺の顔を見上げてくる倫子さん
「はい、名取が暴走してます」
「え?!」
その見上げた顔が一瞬、面倒くさそうに眉を曲げた
「昨日やってもらったデータのバックアップを別のシステムファイルに被せたミスを、安藤に指摘されたのが気に入らなかったらしくて倉庫に閉じこもってます」
「………分かった行くわ」