七瀬クンとの恋愛事情

宗馬社長に一礼をして、彼女は課長へ向き直した


「では、すみません。あとはよろしくお願いします」


「そっちも面倒くさそうだな、倫ちゃん大丈夫か?」

倫子さんを覗き込む高科課長に

「あ、大丈夫です。名取さんの事は最近扱い方が分かってきましたから」と、やつに笑顔を見せている彼女の背中を

俺は無理やり押し出し引き寄せた


いつものような、奴のスキンシップの手が出る前に遠ざけ、チラリと視線を合わせた


「お話し中すみませんでした、主任もういいですか?」

まるで引き離すように部署へ促した

子供じみた牽制だが、俺のその行動に課長も小さく息をついた


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「彼は?」

倫子さんを連れ出した俺たちの背中をみつめていた宗馬社長が、高科課長にそう尋ねた


「はい…松原について入社3年の七瀬です。すでに今回の仕事でリーダーを」

「へぇ…さすが彼女がついてただけあっていい目をしてるし、なかなか実直そう感じですね」

もうその場を去った俺たちが見えなくなってから、そう冗談を交えながら高科課長へと視線を戻した社長に


「あんな、ただ愛想や要領が良いだけな奴じゃダメですよ………」

遠く目を細めたまま言う高科課長

「なんだ珍しいな、面倒見のいい高科くんでも後輩にそうゆう事言うんだな。彼に何かあるのか?」


「あ、いえ…っ」

宗馬社長の前にも関わらず、思わず感情的になっていたのは俺だけじゃなかったらしい




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