七瀬クンとの恋愛事情
豊田さんがまたこれを取りに来るかもしれないと、その紙袋を近くにあるゴミ置場に分かりやすく置いて、七瀬くんに手を引かれながら自宅の部屋へ2人で向かった
部屋に入り鍵をしてチェーンをかけて、ホッと息をついた
「あの……アイスコーヒーでいい?加糖だけど」
「ありがとうございます」
助けてもらってどうしたらいいのか
取り敢えず部屋の中央にあるローテーブルの前に座ってもらった
8畳のDKに仕切りのない6畳のベッドや家具が入ったそんなに広くないスペースの私の部屋に七瀬くんがいる
グラスに入れたアイスコーヒーをローテーブルに置いて、向き合って座った
「あれって、話してた外資系の彼?」
そう言ってきた七瀬くんを前に、自分で入れたグラスのアイスコーヒーを両手で持ったまま、コクンっと頭を下げた
初めは、普通に仕事の出来るエリートリーマンで、婚活パーティーの中でも人気だった豊田さんに、私とのお付き合いを申し込まれた時は、正直嬉しかった
なんでいい歳のチビで童顔の私なんて選ばれたんだろう………とは思ったけど
『そのままの君が、いいのに』
そう言ってくれて、コンプレックスだらけの私の気持ちの扉を開けてくれると思ってたのに
「外資系って、どこの会社?」
「え……っと、確か『W&R』だって」
外国産業で有名なブランドシューズメーカーの会社だ
仕事にはプライドを持っているらしくいくつかの事業は自分主導で会社が動いているんだと言っていた豊田さん