七瀬クンとの恋愛事情
「昨日眠れなかったんですか?」
「え?」
とりあえず辺りに人がいないのを確認した後、隣に腰を下ろした私に、自分で買った微糖のコーヒーを開けながら
「こっちにしようか迷ってたでしょ?」
「あ……」
それともこっちを飲みます? っと飲みかけたコーヒーを差し出された
「い、いいよミルクティーで………」
顔を逸らせ、彼に背中を向けた
「予定ってなんですか?」
ジュースを飲みながらお互い背を向けた状態で、頭の上からそう声が落ちてきた
「えっ?」
「今日のキャンセルの理由」
私を見下ろすように、顔だけこっちを向けた七瀬くんと目を合った
「…………っちょとね」
咄嗟に目を逸らし彼から背を向けた
少しだけ指に力が入って、持っているミルクティーのアルミ缶が小さくピキッと鳴った
「…あのね、りょっ両親が泊まりに来ることになって」
こちらに身体を向けているだろう七瀬くんから視線を合わせないまま
「急だったのよ、何かこっちに用事があるみたいで」
「いつまで?」
「え?あ、いつ? ああ………日曜までかな」
「…………ふぅん」
「……………っ」
下手な言い訳だっただろうか
つい嘘をついたことの後ろめたくて、七瀬くんの反応を見られない