七瀬クンとの恋愛事情
「………えっ、 あれ?ま、松原主任?!」
座っている七瀬くんから視線を落とした同僚のもう一人に見つかってしまった
いつまでも七瀬くんの隣にいて気付かれない訳はない
「ずっとそこにいたんです?………ちっちゃくて気付かなかった」
ちょっと焦った声でそう言れた
私だってさっさと立ち去りたかったけど、手を離してくれないから
この状態でも手は繋がれたまま、一応その手は彼らには見えないとこで
七瀬くんに隠れて屈めていた顔を彼らに向けながら、さり気なく手を離すように振ってみれば、逆に指を絡め取られた
長い指の節がゆっくりと私の指一本づつ順番に触れて温もりを感じる
「………っ」
「あ、そうだ。主任も来ます?飲み会」
「えっ?」
その誘いはたぶん、私に気付かず脇谷くんの事や役職をじじばば扱いしてしまった取り繕いなんだろう
「いや、私は……」
「まだメンバー決まってないんスけど、ヤローばっかで女の子が少ないんですよ」
女の子って………さっき役職のじじばばって
「松原主任なら大歓迎ですよ、かわいいから」
「え、」
笑顔で七瀬くんから私の方に身体を向けた一人
「主任ならアリです、来ます?」
「おいおいっ、お前そんな事いったら高階課長に睨まれるぞ」
もう一人の方が誘いながら顔を覗き込んできた其奴の肩を掴んだ
「あ、そうか」
「は………っ」