七瀬クンとの恋愛事情
気持ちと仕事のすれ違い 恋愛は自由だ、割り込まれる方が悪い
「ふぁァ〜……」
通勤中の騒然とする人混みの中、駅の階段から道へでると眩しい陽射しで目が細くなり思い切り欠伸がでた
出し切ってから、開きすぎた口を両手で覆った
「特大欠伸だな」
突然隣から顔を覗き込むように声をかけられ、聞き覚えのある予想通りの人物にピクッとしながら手で抑えた顔を向けた
脇谷くんに思いっきりの大口を見られてしまった
「おふぁよう………」
「なんか、疲れてないか?」
「…………」
このところ、なかなか眠れなくて昨日も遅くまで起きていたと言うか、
眠くなるまで考え込んでいた………
いや、考えないように寝ようとすると、なかなか寝付けないのだ
「まぁ、最近松原の周りは騒がしいからなぁ〜
あ、もしかして遅咲きの恋煩いってやつか?」
「なぁっ?!」
鋭い指摘に思わず額に手を当て足を止めた
朝から何て指摘だ
ってか、こいつはエスパーか?!
「わ、煩ってないっ!」
面白そうにニヤリとしている脇谷くんに向き直し、反論すべき顔を上げた
「…………あ、」
その振り返った脇谷くんの先にある駅の出口から、見覚えのある背格好の人物に気がついて、
ついその時動きを止めてしまった
「…………」
「松原?」
一瞬固まったように見つめている私に首を傾げて視線の先を追うように振り返った脇谷くん
「ああ、七瀬か…」
駅からは次から次へと人が騒然と溢れ出てくるその中でもやっぱり彼は目立っていた