七瀬クンとの恋愛事情
「と、古坂か……?」
七瀬くんを後ろから呼び掛け、足を止めた彼の隣に駆け寄って歩く古坂さん
背の高い七瀬くんに似合う長身でスタイルのいい彼女、加えて美男美女が朝から並んでいるんだから………
「前に七瀬に古坂と付き合ってるのか聞いたけど、否定してたな。
でもなんか、ああやって一緒に歩いてくると同じとこから来たみたいに見えるよなぁ」
脇谷くんのその一言だけでズキっと心臓に重い重力が感じられる
「………行こう、遅れるよ」
七瀬くんがうちに泊まった時は、お互い出勤時間をずらしていた
付き合い始めてから、朝会社近くであんな風に堂々と並んで仲良く歩く事なんてしないようにしていた
だから、
心の中で『羨ましい』と思っている
この浅ましい自分が嫌いだ
「同年齢の同僚って、仲良いと付き合ってるみたいに見えるよねぇ……」
さっきの二人に、なんとなく呟くようにそう言葉をついた
「………いやぁでも俺、既婚者だし」
「へっ?」
少し早足で会社に向かいながら、隣でそう答えた脇谷くん
考えたら私と脇谷くんも同年齢の同僚でした
「えっ、あ、…そうゆう事じゃないから」
小走りで会社に向かい、定員ギリギリのエレベーターに駆け込んだ