七瀬クンとの恋愛事情
「なぁんだ、それで今日七瀬は拗ねてる訳だ、まるで駄々っ子ね、ふふっ」
鼻を鳴らしながら俺の顔を覗き込む
「別に、俺ってば結構理解ある彼氏だからな」
「へぇ…、でもあんまりにも年上の彼女っていろいろ気を使うんじゃない?七瀬さえよかったら同じ女の私が相談ってあげるわよ」
俺の肩を叩きながらそう言って胸張ってきた
「俺が古坂に?」
「そうっ、何でも聞いてよ。恋愛感情には自信があるから的確に答えてあげるわ。例えば彼女の心理状態とか?」
心理状態なぁ………確かに分かりにくいとこもあるが…
「間に合ってるよ」
大丈夫だと思う
俺と倫子さんなら
とは言え、話は結局恋愛話しへ
「………だから女の気性が分かるのは嫉妬からって言うでしょ?」なんて、
終始こんな会話の流れで酒は進み、いつもより確かに羽目を外したかもしれない
2次会にもなだれ込み酒もいつもより飲んで、多少テンションも高かったかもしれないが
最後にはちゃんと古坂を一人タクシーに乗せ見送ったんだ
憂さは晴らしたが、別にやましい事はしていない
ただ週が明けると
同じ部署にいるのに、仕事で関わらなくなったその途端に倫子さんとの接触する機会がなくなった
残業のあと、急いで帰ろうとすると一緒だった他のリーダーとの飯や飲みに誘われる
一番下っ端の俺を気遣う先輩の誘いに応えない訳にはいかず
結局遅くなり自宅へ帰る毎日だ