七瀬クンとの恋愛事情
脇谷主任との仕事は、倫子さんの段取りと違うため、やりにくいのは仕方ないが
工程人区を減らされた分、これからもっと忙しくなるだろう
「………ハードっスね」
「だろー」
大体の打ち合わせを終了させると、2人して溜め息をついた
「松原主任には手伝ってもらえないんですか?」
理不尽な理由で干されたとは言え
得意分野でいけばやっぱり倫子さんの許容範囲なのだし、一緒にメンバーとして手伝ってもらえるだけでもと思うのだが、
「別で新規の案件に入る予定だから無理だろうな」
「新規の案件?」
そんな話は初耳だった
「花菱商事からの新しい案件だって、この時期にそんな話をよく取ってきたもんで、
まぁきっと松原のためなんだろうなぁ……」
「………高科営業課長っスか……」
こうゆうアピールの仕方もあるって訳だ
「脇谷主任はどう思います?」
「どうって?」
倫子さんの同期であり、高科課長とも後輩として仲の良い脇谷主任だからこそ聞いてみた
「松原主任との噂です。ってかあの二人付き合ってなんてませんよ」
「ああ、知ってるよ」
さっきパーティション越しに聞こえた倫子さんと同じ会話なのに、資料に目を向けながら二杯目のコーヒーを啜り、興味なさ気にそう応えた
「……………」
そんな脇谷主任を見据えて口を開いた
「今松原主任と付き合ってるのは俺ですから」