七瀬クンとの恋愛事情
確かにそうなるが、改めて言われるとムッとくる
「弄んだって、課長が勝手に割り込んできただけじゃないですか…」
不機嫌に俺はそう言って資料の方に視線を移すと
「割り込まれるのはそれだけ詰めが甘いってことだろ」
「は?」
ミーティングテーブルに広げた資料を片付けを始めながら脇谷主任は席をゆっくり立ち上がった
「恋愛は何しても自由だろ。仕事の取引きだっていくら信頼し合ってても割り込んできた条件のいい方と最終的に契約したって 何も悪い事じゃないからな。
課長が松原に言い寄ろうが、お前が古坂に誘われようが、別に結婚してる訳じゃあないんだし」
「………古坂とは本当になんでもないです」
今の論点はそこではないが
「とにかくこっちの仕事は甘くないぞ、恋人(取引先)を引き止める為に最善を尽くさないとな。
期限までに企画内容をパターン化してそれによる利点や問題点のまとめとけよ。
言っとくが1個や2個じゃないからな、最低5パターン」
「ご…」
ファイルの一冊をテーブルこちら側へ放り投げると
「他のリーダーもこれくらいやってる事だ」
「……………っ」
マジかぁ…
思わず頭を抱えて資料を見直していると、ミーティングルームの出口からもう一言
「あと、派遣のアシスタントは残業させるなよ〜」
「う………はい」
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