七瀬クンとの恋愛事情
つい、その柔らかな髪を撫でていると、
手首を掴まれ、指に彼の唇の優しく柔らかな感覚が
髪の間から見上げた彼の切れ長の瞳に、一瞬胸が跳ね上がる


「こ、ここでまだ仕事するの?」

「うん、やらないと間に合わなくなるから」

企画内容のパターン化
しかも期限までに問題点まで把握しなければならないらしい

「………あの人本当に鬼だぁ」

「鬼?脇谷くん…?」

七瀬くんでもそんな風に言うんだぁ

膝の中で「はぁっ」と一度大きく溜め息をついた


「私も手伝うよ。うちにもパソコンあるし、ここでなら二人で手分けしてやれば早く出来るでしょ?」

我ながら良い考えだと思った。
会社じゃ堂々とこの仕事を手伝ったりできないし

「今度私も資料集めて………」

「いいよ、これは俺の仕事だから。倫子さんは新しい案件に入るんでしょ?」

ごろんと頭が回り、私を真っ直ぐ見上げてそう言った

「うん、でもそっちはまだ時間もあるし」


「他のリーダーだって同じように仕事してるんだ、俺だけズルは出来ないよ」


「でもいきなりこの量は……あっ、じゃあ私から脇谷くんに言ってもう少し………」


「余計なことしなくていいって言ってっ」


少し張り上げられた声に一瞬ビクッと肩を上げると、
膝にあった頭が退いて、背中を見せた

「………」

「…………ごめん、シャワー借ります」

「あ、うん」

そのまま立ち上がるとバスルームへ

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