七瀬クンとの恋愛事情
加納さんにそう言われて、課長とお互い顔を見合わせた
「あれ?これって会社の経費だった?」
「いえ、違いますが…」
加納さんに聞かれてそう答える課長
あれ?経費じゃないの?
「じゃあそうしたらいいじゃないっ」
両手をパチンっと合わせて私たちにウインクをした加納さん
「でも僕は一度会社に戻る予定で………」
「あら?まだ残業するほどの仕事があるんですか?」
「………いえ、でも」
仕事でも、こうやって加納さんに言い包められると立場のない高科課長
一度私に視線を向けて小さな溜め息をついた
「そうしてくれた方が私も心苦しくないしっ」
合わせた手がもはやお願いに見える
「…………」
「そうですね……どうする?倫ちゃん」
少し伺うように私に聞いてきた高科課長
「あ、はい。大丈夫です」
そう答えるとホッとした顔見せた
「じゃあちょっと会社に直帰することを伝えてきます」
そう言って課長は、一旦打ち合わせしていた部屋から出て行った
「ふふ、本当は自分が心配だったくせに…」
電話しに出て行った課長を見送りながら小さく含み笑いする加納さん
「?」
私がそのつぶやきに首を傾げると、
「ああ、ごめんなさい」と口を押さえた