七瀬クンとの恋愛事情
そう聞くと、改めてまた姿勢を伸ばして座り直した高科課長
「ここのとこ、周りからの噂や居心地の悪さを感じていただろ?
まぁ原因を作ったのは俺でもあるけど……
でも倫ちゃんは、またこのまま時間に任せてやり過ごそうとしてるだろ?」
「う……」
厳しいご指摘だ、確かにその通りなんだけど
「人生の中には何回かの転機ってものがあるんだ、例えば俺が今の会社に転職してきた時も、新しい出会いと、残っている強い繋がりと同時にただ無駄に付き合ってきた薄い縁を切るきっかけになった」
高科課長がうちに転職して来た時というのは確か私の入社の一年ちょっと前だったっけ
25歳の時だったって聞いたことがあるが、どうゆう経緯で転職して来たのかは、そう言えば知らないが、
今これから花菱に行くという事は、彼にとって人生の転機だということなんだ
仕事のバージョンアップには好都合だろう
でも私にとっては、リセットするための人生の転機って事だろうか?
「加納さんはちゃんと倫ちゃんの仕事ぶりや気遣いを気に入っているから、
そうすればもう少し仕事を選ぶことだって出来るはずだと思う。よく考えてみて」
「…あ………はい」
こんな展開は予想外で、なんだか急過ぎてピンとこない