七瀬クンとの恋愛事情
「やっぱり無理ですっ!!」
高層マンションの一室の玄関を開けたところでもう無理だと思った
な、なななんてキレイな玄関なんだ
こんな泥だらけの身体だ足を踏み入れたら、途端に汚れてしまう
「いいから入ってこい、そのまま風呂場に行けばいいから」
いやいや、一歩でもこんなところは汚せない
「………このっ」
「わぁァっ!!」
その場で立ち止まっている私を課長がいきなり抱え上げた
「こうすりゃ良いだろっ」
「そんな、これじゃあ課長の服がっ!!」
「ゴタゴタ言うなっ、俺だってもう濡れてんだから」
サッサと言うことを聞けとお風呂場までそのまま抱えられた
「服脱いで、洗濯機に放り込んどけよ、後から着替えて持ってくるから」
「………はい」
バスタブもやっぱり全然大きくて、お風呂場は断然うちのより2倍はある広さだ
棚にあるタオルもキチンと整えてあって
何この最新式のドラム型洗濯機は、確かテレビで見た事ある有名家電だよ確か
シャワーを浴びてバスルームからでると、大きいTシャツとダブダブのズボンが置いてあった
「シャワー、ありがとうございました課長」
「………ああ」
「課長はシャワー浴びないんですか?」
着替えて対面式のキッチンにいる課長に声を掛けると、
一旦私に振り向いて、すぐに目を逸らせた