七瀬クンとの恋愛事情

「俺はまだいい……濡れたのは服だけだから、
それより髪も乾かしたのか?ドライヤーがあっただろう?」

「乾かしました、でも………」

置いてあったシャンプーを使ってドライヤーをかけたら、あっという間に癖っ毛の髪の毛が膨張し始めるんだもん

さすが男性用シャンプーだ

適当なとこで抑えておかないと帰る時が大変だ

「………これでいいんです、いつも自然乾燥なんで」

そう言って、中途半端に乾かした髪を掻き上げた

「クックッ……なんか、子供みたいだな倫ちゃん」

無駄にぶかぶかなシャツと、課長のハーフパンツが見事に中途半端なパンタロン状態の私の姿に、笑いを堪えている




部屋にはコーヒーメーカーから沸き立つ香りがして、課長の両手に持つマグカップの、ミルクの入った方のコーヒーを差し出された


「ありがとうございます………あ、」

受け取ったカップの熱で、手のひらにあった擦り傷が痛んだ

押されて尻もちを着いた時、アスファルトに手を着いた時の傷だ
シャワーを浴びている時に、痛いと気がついた

「怪我してるのか?見せてみろ」


「大丈夫です、ただのかすり傷ですからっ」

咄嗟に隠した手のひらをグィッと掴まれた


「…………うっ」


皮がめくれていたから触るともっと痛かった



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