七瀬クンとの恋愛事情


広いリビングは30畳くらいで、吐き出し窓から見えるバルコニーのスペースにはちょっとしたベンチとテーブルが見える

部屋は他にも2、3ありそうだし、システムキッチンもなかなかの広さだ

こんなとこに課長一人で住んでるんだ


「結構切れてるな、痛かったら言えよ」

消毒と、傷を直接揉まないように優しく軟膏を塗ってくれて、少し大きめの絆創膏を貼ってもらった


「大丈夫です………って言うか、課長って器用なんですね。なんかお母さんみたい」

素直にそう思った、それに几帳面だ

棚から出してきた救急箱は見た目も使いやすくキチンと整理してあった


「お母さんか?」

目の前で眉を歪ませた課長


「あ、じゃあお兄ちゃんで、ふふっ」


「…………結局兄止まりか」

小さく溜め息をついた



入れてもらったミルクコーヒーは少し冷めて
私には飲みやすい温度になっていたが、

傷をすっかり包み込んだ絆創膏のおかげで、グーパーグーパーと動かしても痛くない


「………なあ、倫ちゃん」


「はい?」


「さっきのカナちゃん………ってやっぱり七瀬絡みなんだよな?」



マグカップを両手で抱えながら飲んでいた私をそう言って覗き込んできた


「……………」

< 283 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop