七瀬クンとの恋愛事情
「もしかしてさ、こうゆう事よくあるとか?」
そう言われて、一瞬古坂さんが頭に浮かんだ
「いえ…っ、今回のことは、彼女が私に対しての不満であってで、七瀬くんは………」
「関係ないことはないだろっ、あんな事されといて」
「…………っ」
口を噤んだ私の前で、課長は今度は大きく溜め息をついた
「倫ちゃん………」
ソファーに座る私の隣からいつもの課長の大きな手が私の頭を優しく撫でて、下を向く私にそのままゆっくりと顔を付き合わせてきた
「付け入る隙はまだあるんだな」
「……え?」
「自信はあるよ、七瀬なんかよりなんだってしてあげられる。前にも言ったけど
倫ちゃんの年齢にあった付き合い方も、仕事の都合だって合わせられるし、結婚だって考えてる」
距離が近く、頭に乗っていた手が頰に降りて
なんとなく身体を引くと
合わせてスペースが近くなる
「課長………っ近い、です」
「近づいてるからな」
私の持っているほとんど飲んでしまったマグカップを取り上げられ、身体半分課長の腕に覆われたため、完全に逃げるスペースを塞がれた
「七瀬と別れるまで待ってる余裕はないから俺、これから何するか分からないかも
入社3年目なんて仕事で追い込むのは簡単だからな」
私を見下ろしながら
課長の指がゆっくり私の首筋に降りて擽る
「そうだ…例えば今ここにキスマークをつけるとか」
「……………」