七瀬クンとの恋愛事情
「いや、違うか。
営業のくせして肝心なとこを後回しにしたつけだな……」
「?」
座る位置の離れた距離から腕を伸ばして、その大きな手のひらが、いつものように私の頭に乗った
わしゃわしゃと掻き回すわけでもなく、ポンポンと優しく
「男としての距離を置いてたのは関係を壊したくなかったから、
苦手なんだよ俺、こうゆうのが………」
仕事や相談みたいな人に世話をやくのは出来るのに、恋愛には奥手だということを隠すのに必死だったなんて
頭を掻きながらそんな事言うんだ、この人は
そのまま暫く膝を抱えて、私の答えを待つ課長からの視線をやり過ごした
「…………」
そのうち乾燥の具合を見に行こうと腰を上げた課長
「………考えますっ」
その背中に声をかけると、彼はゆっくりとこちらを向いた
「ちゃんと考えますから、待ってもらえますか?」
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乾燥が終わって、微妙にシワシワのわたしのブラウスをアイロン台を用意して待っている課長
「自分でやりますって!!」
「見てろ、絶対俺の方が上手いから」
………どうもこうゆう事は譲れないらしい