七瀬クンとの恋愛事情
そのうち「バタンッ」と玄関のドアの閉まる音がした
冷静に話なんかできない
噛み合わない話に、勝手に溢れ出した涙を拭き取って、ベッドの上で一人膝を抱えた
今日、私のことを七瀬くんに話したってどうせ信じてもらえない
だって、私は中途半端に高科課長に「ちゃんと考える」なんて言ってしまったんだ
なのに自分勝手に傷ついて、
最低な気分になってそれでも胸が痛んだのは……
「聞きたくなかった、古坂さんのことなんか」
溢れて止まらない涙が喉を引きつかせ続ける
暫くして
明かりを付けない部屋で膝を抱えたままベッドに倒れ込んで、ボーと一点を見つめた
30歳過ぎにもなって、嫉妬して一時の感情をコントロールができないなんて
これが私の恋愛経験の乏しさなんだ
はじめから終わりを見据えた軽い恋愛だったなんて自分に出来るわけない
いつでも前みたいに、突然別れを切り出されてもいいように心構えしておくなんて無理だった
とっくに胸が潰れそうなくらい
七瀬くんが好きになってたくせに
「もう…最悪」