七瀬クンとの恋愛事情
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「……くん、」
ゆさゆさと身体を揺らされながら、心地いいいつもの声がする
「….…ななせくん、七瀬くんっ」
「………はっ」
いつの間に倫子さんの眠るベッドのサイドにうつ伏せて眠ってしまっていた
「こんなとこで眠ってたら風邪ひくよ」
その声に起こされ顔を上げた
「………あ、倫子さん…」
熱っぽい顔で俺の顔を覗きながら眉をひそめている
「えっと………なんでここにいるの?」
その質問はごもっともだ
脇谷主任に言われた用事を済ませて倫子さんの様子を見たら帰るつもりだったのに
「あ…いや、
なんとなく来てみたら脇谷主任たちがいて」
「脇谷くん………?」
「………………違う、そうじゃなくて」
何となく、なんて何を言ってるんだ、こんなとこまで来といて
目の前で布団から起き上がっている倫子さんに頭を下げた
「七瀬くん?」
顔を上げて彼女の頰を触ると、まだ熱がある
「まだ熱が高いね……」
顔色も悪い
「薬が効いてるからだいぶ楽になったけど」
「……………」
そんな痛々しい彼女の笑顔だが、久しぶりに見たような気がする
どうしようもなく頭を掻きむしってベッドサイドから倫子さんに詰め寄った
「倫子さんごめん俺、謝りに来たんだ。
この間のこと、高科課長から何があったか聞いた。
なのに俺、ガキだからどうしようもなく嫉妬して…」