七瀬クンとの恋愛事情
あの日から
「高科営業課長、お疲れ様でしたーーっ」
花菱商事への転職のため、今日は高科課長への花道が開かれた
勢いよくビールジョッキが所々でカチ合いながら、素直に喜ぶ人もいれは、居なくなることを惜しむ人もいる
それだけこの人がいかに人に好かれていたのかがわかる
山盛りになっている彼の周りを遠目に宴会場の片隅でグラスビールを飲んでいる私
「あれ、松原さんどうしたんですか?こんな遠くにいないで課長の隣へ………っ!」
営業課の一人が私を見つけるなり自分のジョッキビールを片手に近づいてきたが、すぐに同僚のもう一人に腕を組んで連れて行かれた
「すみません松原さん、こいつ昨日まで出向してて何にも知らないもんだから」
そのまま引きづられていく彼に対して同僚のもう一人に肩を上げながらイエイエと手のひらを振った
「うぅん、お構いなく」
「へっ?な、なに?」
「ばか、最近別れたんだよあの二人」
小声ながら聴こえてくる会話
「はっ?!いつだよそれ、聞いてないぞ
ってかだったらなんでいるんだよ」
「………………」
まぁ、ずっと公私ともにお世話になった人だから
さすがに送別会に来ないなんて、そんな薄情者ではない
遡ること3ヶ月前
私は七瀬くんとの関係を解消して暫くした後
高科課長からの告白に答えを出すため、
兼ねてから噂になっているお見合い前の筋書きを事実にあったこととしてお付き合いをすることにした