七瀬クンとの恋愛事情

「本当にいいの?」

大胆な告白をされた割には案外と正当な人で、会社帰りに食事に行ったり、待ち合わせて映画にいったり美術館に行ったり

実際、気兼ねなく楽しかった

もちろん会社では周りに冷やかされながらも決して、公私混同しない真面目なお付き合いだった

そのまま、あっと言う間に日常は過ぎていった




「一体、なんで別れたんですか?」

私の隣に座ってフルーツ系の酎ハイをゆっくり飲む名取さんがこちらを覗き込んできた

まぁその辺をハッキリさせないまま、別れた事実だけが一気に噂になったからなぁ


「あーー強いて言うなら生活基準の不一致?」

「生活……?性の、じゃなくて?」

おいおい、
なんてコト言うんだこの子はっ!!

確かに部屋にも何度か行ったが……



しかし、この部屋が問題だった

綺麗に整頓され、常に掃除が行き届いている高科課長の部屋は、まるで他の住人を寄せ付けない雰囲気をかもし出していたのだよ

「あ、何もしなくていいから座ってろっ」


私を制止させたまま
ご自慢な得意料理を作ってご馳走してくれたりしてくれたりして

でも、手伝ったりするどころかキッチンにすら入れてもらえなかった

課長には課長なりのこだわりがあるらしい

「…………」


普通、彼氏の一人暮らしの家行ってお茶の一つも入れずに帰ってくるものなの?

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