七瀬クンとの恋愛事情
「じゃあ、倫子さんが俺とのことをもうやめたいって言ったのは……」
「一時的にも俺と付き合ってる事にした方が、何かと都合かいいってことだな」
高科課長が花菱商事へ行くまでというより、とにかく水嶋建設との繋がりを先に繋げられる確信が出来るまでは風並みを立てず、流されるように課長と付き合って古坂の気を引いていた
「なんでそんなこと、直ぐに俺に言ってくれればっ」
「確かにそうすれば事は早く解決しただろうが、
それだと、古坂の気持ちには何の解決にならないだろ」
「古坂の気持ちって」
それって欲しいオモチャを取られて駄々こねてるだけだろう
「あの子の気持ちに終止符を打てるのはお前だけだろ、倫ちゃんに攻撃するくらいだからお前の事は好きで仕方ないんだ」
「…………」
この人に、古坂の気持ちまで諭されてしまった
どれだけ人の事、考えてるんだ
ダメだ、人間的には絶対にこの人には勝てない
でも倫子さんは
「……じゃあ、課長と倫子さんは」
小さく息をついた課長は頭をもたげ俺を見据えた
「それなりに見えるようには付き合っていただろ?
……だが、俺はここでタイムリミットだ、あとはお前がなんとかしろっ!」
吐き捨てるようにそう言って、すれ違いざまに肩を強く掴まれた
「……………っ」
それから俺は、古坂と付き合うことにしたんだ