七瀬クンとの恋愛事情
「俺、帰ります」
宴会場が少しづつ主役の見当たらない事にザワつき出しているところで、
帰ってしまった倫子さんを追うためとりあえず駅に行こうと席を立った
「お前ちゃんと…….っ」
咄嗟に脇谷主任が何か言いた気だったが
「決着付けてきますっ!」
そう言えばわかるだろう
小さなガッツポーズを作る俺に少し呆れた顔を見せた
「若いねぇ」
「でも、それくらいじゃないとあの考え過ぎ恋愛ど素人主任は無理なんですよきっと」
サラリとそう言う名取に肩を揺らしながら笑う
駅に向かう路地の途中
向こうから一人歩いてくる高科課長を見つけ
走って息を切らした状態で駆け寄った
「…………高科課長?」
「七瀬か?」
俺を見つけ顔を上げた
「………もう帰ったぞ」
「追いかけます」
そう言うと、ムッとした顔をした
「解決させたのか?」
「……正直に話したら思い切り平手打ちされましたけど」
赤くなっている頰を見せるとククッと鼻で笑われた
「自業自得だバカ野郎……」
主語も説明もない会話の中
その人は俺の前でふんっと胸を張った
「言っとくがな、これから俺はお前らのお得意様だ。仕事じゃ手加減しないから、覚悟しとけよ」
「……っいやいや、今までだって容赦なかったじゃねぇか」
つい本音でボソッと呟いた
「本当にお前は可愛くないっ!だから嫌いなんだ
なんで倫ちゃんはこんな奴………っ」
「早く戻った方がいいですよ、向こうで本日の主役を探してましたから」