七瀬クンとの恋愛事情
「えっ? ちょっと…」
なによ、いきなり
「なに自分の携帯からかけてるんですか?
このコンビニに貼られてるチラシならコンビニの店員にかけてもらった方がいいに決まってるじゃないですかぁ、個人情報漏えいしますよ」
「そ、そうなの?」
子猫を私にバトンタッチさせて店内の店員に言いに行った七瀬くん
コンビニ店員から子猫の飼い主に連絡がついたらしく、戻ってきた七瀬くんと店の前でその飼い主さんを待つことになった
「飼い主はこの近くの人だそうです」
「……そう、ありがとう」
「……………」
小さい子猫を腕の中であやしながらその飼い主さんを待っているんだけど、二人の間にはちょっとした沈黙が続いた
隣にいるのに、聞きたいことは沢山あるものの
その話のきっかけがつかめない
ねぇ、なんでここにいるの?の、ひと言がノドの奥からなかなか吐き出せない
「…………」
「………相変わらず危機感ってものがまるで無いんですね、倫子さんは」
「へっ?」
いきなり沈黙を破って七瀬くんの低い声が落ちてきた
「さっき自分の携帯から見ず知らずのの飼い主に掛けようとしてたでしょう?
あれ、もし向こうがその後からしつこく連絡とってきたらどうします?」
ズィっと顔が近づいて、思わず身体を引いた
え、怒ってる?
「そんなこと…」
「この子猫の成長見に来ませんか?なんていわれたりして、ちなみに連絡取れた飼い主は男でした」