七瀬クンとの恋愛事情


「古坂には前から何度か告られてました、倫子さんと付き合ってた時でもしまいには遊びでもいいからなんて言われて、でも俺は同僚として上手くやっていきたいから結構適当にあしらってましたね……正直古坂は見た目もいいし気も効いてるから別に好かれて悪い気はしなかったですから」


「…………」


「キスもされたから、まぁ軽くそれで済めばと思ってしました。あの時倫子さんたちに偶然見られてたんですよね」


顔を向けず立ち止まって下を向いたままの私にそう言う七瀬くん


「……だからもうそんな事関係ない」

そんな話、聞きたくない


「そうやって結局最後まで倫子さんには全然信用されないままで……悪いのは俺ですけど
でも俺、結構真面目に社内恋愛してたんっスよ」


両肩にそっと手が触れて
いつの間に耳元まで近づいた声にビクッと肩が上がる


「………っ」




「でも俺のその曖昧な態度のせいで古坂が諦めないどころか、倫子さんとの事がバレててまさか陰で脅されてたなんて」

「えっ…?」


横目で顔を向けると近い距離で顔を覗き込まれて
引いて目が合うとゆっくり鼻を突き合わせてきた


「脅されたって……それは」




「これ」

目の前に見せられたスマホ画面はまさにあの古坂さんから見せられたキス画面

えっ?!
なんでこの写メ七瀬くんが持ってるの?


「それはっ、でも古坂さんが」


「古坂の方のは消したよ俺が、あいつの部屋行って自前のパソコンとかにも無いか聞いたし」


この写メを消す前に自分のスマホに送信して登録したらしく
これがあの時彼女が撮った唯一の二人のキス画面だと言う
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