七瀬クンとの恋愛事情
「再起動させたりもしないだろうと思うよ、俺さっき古坂にこっ酷く振られてきたから」
そんな簡単に?
「振られたって……?」
だってさっきはあんなに仲良くしてて
七瀬くんを大好きなあの古坂さんが自分から七瀬くんを振るなんて有り得ない
「誰と付き合ったって、俺が倫子さんを好きなことは変わりないから……ただそれを正直に言っただけ」
「そんなこと……っ」
暗い夜の路地を照らす街灯の明かりの下で、そんな真面目な顔して見つめられて近づいて来られたら
つい、恥ずかしくて頰が熱くなる
「バ、バカじゃないの…っ?!」
「そうくる?もともと倫子さんが俺に何にも言ってくれないからこうなったんだろ?」
「う……」
よく見ると、七瀬くんの左頬がしっかりと赤くなっている
「もしかしてそれも古坂さんに…?」
その痛々しい頰になんとなく指を伸ばすと、
頰に触る私の指にそっと手を絡ませてきた
「倫子さん……好きです」
また一歩距離が縮む
「始めからそう言っておけばよかったんだ、ストーカーから守るためとか言い訳なんて考えないで、ちゃんと伝えて付き合ってればこんな遠回りしなかったから」
七瀬くんの頰に重ねられた手の中でゆっくりと傾いた彼の唇が触れる
ただそれだけで心臓が煩く騒ぎだす
「だからこれからはちゃんと付き合っていける」
「………え?」
「ん?」
「……ちょっと待って、なんでそうなるの?」
思わず流されるそうな話に、一旦背中を反らせて引いた