七瀬クンとの恋愛事情
「それはもうお互いフリーになって問題ないってことで」
いやいや、そうゆう簡単な問題じゃない
「ダメだよ」
繋がれていた手を離し、少し距離をとった
「…………」
「七瀬くんはこれからいくらでも恋愛出来るし、きっと若くてもっとお似合いの子とちゃんと恋愛し………むぐぅっ」
言い切る前にいきなり言葉遮るように口を手で覆い塞がれ、目の前で大きな溜め息をついた七瀬くん
「もしかして、まだ俺が適当に言ってるとか思ってたりする?倫子さん」
「…………っ」
「じゃあ聞くけど、倫子さんはなんで高科課長と別れたの?」
塞いでいた手のひらがスッと離れていって、私の顔を覗き込むように見下ろしてきた
「それは……」
「倫子さんから『もうやめたい』って言われたあの時、やっぱり俺は必要ないんだと思った
高科課長みたいに何でもできる訳じゃないし、
ガキみたいに嫉妬するだけで何一つ課長に勝てなかったし……」
一旦離れて距離をとった私を見据えながらゆっくり肩を落とす七瀬くん
「二人を前に諦めなきゃいけないのに諦め切れない俺の気持ち分からなかったでしょう」
「……そんな、だって」
………確かにあれから七瀬くんとは会社でも気まずくて目も合わせられなくて私も辛かったけど、
でもそれも
七瀬くんにとってはただの通過点に過ぎないことなんだと思ってた
普段通りの明るいいつもの彼に、寂しさを感じてたくらいだった