七瀬クンとの恋愛事情
咄嗟に七瀬くんの手にある雑誌を取り上げようと手を伸ばしたのに、簡単に私の手の届かない位置まで上げられ奪い返せない状態に
「倫子さんってこんな漫画雑誌みるんだ…」
しまったっ!
まさか七瀬くんが今日部屋にくるなんて全くの想定外だっただため、ここのところ夢中になって読んでいた漫画雑誌を出したままにしてあったのだ
それはいわゆる禁断のBLストーリー漫画
表紙からすでにまるでAVのタイトルかと思わせる漫画雑誌をペラペラと巡る七瀬くんの眉間が段々と険しくなっていく
「倫子さんってこうゆうのか好きなの?」
「ちっ、違うから!それは七瀬くんがいて…っ」
言いかけて咄嗟に口を塞いだ
「?? 俺が何?」
「いや、あの……」
目を逸らし後ずさるとゆっくりと詰め寄ってくる
「また隠し事?前にはこんなの全然置いてなかったのに、もしかして高科課長の忘れ物とか?」
「はっ?!まさか課長が読むわけないでしょ!」
どーしてここで高科課長が出てくるのよっ
「………じゃあ何?」
ズイズイと迫られキッチンに押されて両脇を手で囲われ身動き取れない状況に観念するしかなかった
「な…七瀬くんがいるから、その中に……」
「?」
私の言った事に理解出来ないのか本を片手に首を傾げる七瀬くん
「それの中に隣の小田さんの描いた漫画があって……」
「っ?!!」
一瞬で理解したらしく勢いよくページをめくると見つけてすぐにバタンっと閉じた