七瀬クンとの恋愛事情
あはっ♡、ちょっと刺激的だったみたい
彼の視線は積み重なった3冊ほどの分厚い月間紙に向かっていた
「なるほどね〜倫子さんは俺から離れた後、これ読んで満たしていたって訳だ」
「みっ!? や、違うからっ! 決してそんなっ
だってこれ結構七瀬くんそのまんまだから……それに面白いのよ、主人公の七海愁くんと一個上の先輩の山上くんとのオフィスラブ……的な話でね」
「へ〜〜っ」
ピクピクと目尻が上がる七瀬くんから目を背けると近づいた顔から耳元へ口を寄せられて
フッと息がかかる
「俺を想像してたんだ、あんな風にしてもらってるつもりで……倫子さん」
あ、いや…それは言い訳出来ないかも
この逃げられない態勢だってなんか漫画の中にあったりして思い出しちゃうし
「じゃあもう必要ないね、俺帰ってきた訳だし」
「へっ?」
顔を上げると降りてきた唇が優しく触れる
頰から髪を掻き分けられ見つめられると、そのはにかんだ笑顔にキュンとさせられる
漫画の中の七海くんもいいけど、やっぱり七瀬くんがいい…….
「と、言うわけでこれは廃棄だね」
「あーーっ!!」
ゴミ箱の中に捨てられた
「待って待って、それまだ今月買っておいて読んでないからっ」
身動き出来ないままゴミ箱に入れられた本に手を伸ばす
「漫画の俺とどっちがいいの?」
「いやいや、そうゆう問題じゃなくて……」
「どっち?」
両頬を手のひらで持ち上げられ顔を突き付けてきた七瀬くん
「どっ……ちって…」