七瀬クンとの恋愛事情

また、肩に凭れかかるとそこで大きな溜め息をついた


「あのね、実は高科課長とは……っ」


「もういいよ。課長のことはこれ以上聞かない」

軽くフルフルと自分に言い聞かせるようにそう呟いたそのフワリとした彼の髪が私の頰をくすぐる

この状態で、つい可愛いくて思わずその頭をよしよしと撫でた



「正直……倫子さんがなんで高科課長を選ばなかったのかとか思ってみたりしたけど、
今のこれからを考えることにした」


「これから?」


「そう、俺は倫子さんを愛してる」


頭を上げまっすぐその瞳を向けられると、一瞬で全身がゾクンッと浮き上がるような感覚がする

大事そうにギュッと抱きしめられると、触れるところ全てに熱があると勘違いするほどに敏感になっているの


七瀬くん、わかる?


「だから、俺だけを愛してよ倫子さん」


ああ、

さっきまでどうして彼を諦められるなんて思えていたんだろう


今この瞬間に
もう後戻りできないことを確信してしまった

自然に彼に顔を埋め応えるように抱きしめ返しながら、照れ隠しにふふっと笑ってみせた


「なんか、プロポーズされてるみたい」


「いや、プロポーズしてるんですけど」


「……え?」


「ん?」

顔を上げるとお互い見合わせニィッと笑顔の七瀬くん


「それはまたオイオイってことで、その時断わられないくらい今のうちに俺を刻みつけておかなきゃな」


「え?……ん…」


落ちてきた唇は優しく、まるでお互い離れていた間の時を埋めるように長く長く続いて





「悪いけど、今夜は寝かせないから…」



甘く囁かれた声に身体が震える


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