七瀬クンとの恋愛事情
折り曲げた片脚の膝の上で頬杖をついて、瞳を細め、こちらに顔を向けた七瀬くんの
その瞳が潤んで見える
そして、
なぜか目が離せない口角を上げた彼の薄い唇がゆっくりと動く
「倫子さん、俺のこと結構みてるんだァ……」
「あっ?え、いやあのっ、女の子が、そうっ!
事務の子とかが話してたのよ?!私は別に…」
「気にならない?」
気になる…………すごく
「う………っ、七瀬くんは目立つから……」
瞬時に顔に出た私の表情に、また顔を伏せ
クククッと肩を揺らす
「ハルさんっていうのは確かに年上だけど、
男っスよ、黒木波瑠登で『ハルさん』」
「へっ?」
おとこ……? 電話口のハルさんって男なの?!
「………でも、今抱かれてもいいって……」
もしかしてそっちもアリとか?
「ハハッ、そこは冗談っスよ、でも普通より
もう一段階上のイケメンだからハルさんは」
一度人数合わせで合コンに連れて行ったら、その彼に携番を渡してほしいと全ての女子に幹事の同僚が懇願され、「二度と連れてくるな」と言われたらしい
「へぇっ………」
「写真見る? ハルさんからもらった写メだけど」
「え、あるの? うん、見たいっ」
差し出したスマホを、乗り上げるように覗き込んだ