七瀬クンとの恋愛事情
今ではこうして晴れてより深く思い通じ合ったわけだが……
この人がこの先会社でぶっちゃけられるわけじゃない
このままじゃあまだきっと前と同じ秘密の社内恋愛状態に戻っただけだよなぁ
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「ふぅ〜んなるほど、結局元サヤにおさまったわけですね」
「………元サヤって」
人事部に集結されたそれぞれ各部署の人員から来年度の採用に対する人材基準を話し合う会議に出席するため、このところ忙しく資料まとめに翻弄される中
私のアシスタントとして定着している名取さん
彼女はなぜか私のここ最近起こっていた恋愛事情を全て熟知していた
「元に戻ったにしては何だかお二人共前とあまり変わった様子はないんですよねぇ」
「前とって……どうゆう意味?」
案外と器用に業務をこなしながらペラペラと小言やらが飛び出してくる
「何ら障害を乗り越えた恋愛は燃えるって言うじゃないですかぁ、だからもう一分一秒暇さえあれば会社のそこら辺でイチャついたりしないんですか?」
同企画部所属とはいえ、今は人事との兼用業務のために会社の最前線にいる七瀬くんと仕事でだって絡むことがなくなってしまった昨今
「あのね……会社って言う所は仕事をする場所だからね」
この週末は、ずっと七瀬くんと一緒に過ごしながら初めて二人で少し遠出もした
今度は前とは違うけど、わざわざ社内で付き合ってる事を公言するつもりはない
それでも今は少しも気持ちが怯んだりしない
と、思う