七瀬クンとの恋愛事情



午後の会議に使う資料をまとめると、それを持って二人してミーティングが行われる小会議室へと足を運んだ




「それでもあの後大変だったんですよぉ〜! 七瀬さんが『さっき古坂さんとは別れてきたから』なんて言い捨てて帰っちゃったから、その後いろいろ……」

「い、いろいろ?」


「とにかく気を付けた方がいいですよ。七瀬さんに対しての言わば社内用の女子除けだった古坂さんが外れた後釜を狙う肉食女子たちがあれから跡を立たないらしいですから」

「…………」


確かに、彼女は言わば女子社員の頂点なんだから、私もかつては古坂さんを差し置いて七瀬くんと仲良くなろうなんて思わなかった

だからなのか古坂さんと七瀬くんとのことで話題が持ちきりのため、最近いつの間にか私と高科課長のことが忘れ去られたように言われなくなったのよね


「気をつけるって、そんな大袈裟な…」

軽く聞き流しながら会議室の扉に手をかけると、なんとなく聞こえてきた中にいる人の声に立ち止まった


「好きですっ!ずっと前から……こ、古坂さんの後釜でいいんでお願いしますっ!!」


「古坂の後釜って……あのねぇ」

え……この声って


「大丈夫ですっ、私……か、身体の丈夫さには自信がありますからっ」


「だから……なんでそうなるんだよ、ったく」


「?」

扉の向こうにいるのは確かに七瀬くんで間違いなさそうなんだけど…

何?この会話? 告白…みたいなんだけど


「この声、たぶん総務の藤間さんですね、藤間サラさん。入社一年目の女子一番人気の子……へぇ、七瀬さん狙いだったんだぁ」
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