七瀬クンとの恋愛事情


「それともやっぱり男性の方が好きなんですか?」


「……はあっ?!」



「だって本当は山下さんに意識して欲しいために古坂さんと付き合ったんじゃないかって噂も聞きました」

「なんでそうなるんだよ…」


何この会話、超ドSの次はそっち系?
そんな噂まで…

「違うんですか?」

「違うよっ」

扉の向こう側であきれて頭を抱えているみたいな七瀬くんの声だ



「じゃ〜あぁ〜教えてください。私に本当の七瀬さんをっ!」

彼女の声が少し躊躇ったような甘い声色にかわる



……本当の七瀬くん?
七瀬くんの性癖……ねぇ


「……………」




部屋のライトを遮って覆い被さる大きくて広い胸板と、色気のある目で見つめてくる彼は、まるで会社とは別人で…体力を使いきった私の耳元へ荒い息がかった唇を近づける

『….もっかい、倫子さん…….いい?』


「…….………」

イヤイヤ…あれは性癖というか、ケダモノ……




「主任、どうしてんです?なんか顔が赤いですよ」

思わず回想にふける私の顔を覗き込んだ名取さん

「え、あっははは…」




「差し当たってふたりでお食事でもいきませんか?プライバシーが保たれるとっても雰囲気がいいお店知ってるんです。そこでしっかりお話聞きますから」

いつの間にか話は積極的に藤間さんからのデートのアプローチへと進んでいた


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