七瀬クンとの恋愛事情
「悪いけど行かないよ、仕事も立て込んでるし話す必要もないから」
「いいんですか?そんなこと言って、これからもっといろんな噂話がたっちゃいますよ?」
なんだかちょっと強迫っぽいな……
そして2人の声が遠くなるようで、つい扉の前で耳をすますと、微かにすり寄って囁くような藤間さんの声色
「違うって言うなら、私で試してみても、いいんですよ」
「…….えっ?」
「はぁっ?!」 ガチャッ
「あ」
「………….……っ」
聞き耳してた扉を思わず開けてしまった
「……しゅ、にん?」
そこにいる七瀬くんに今にも抱きついてしまう様な距離で、彼女の両腕に手を添えている七瀬くんの状態に
一瞬ムッと気分を抑え込む私に
バツが悪そうにすぐに彼女から離れる七瀬くん
「………何してるの?休憩時間はとっくに終わってるし、ここは今から使うんだけど」
こうなったら開き直るしかない
会議室の準備に取り掛かるため2人を避けて入っていった
「りっ……っ」
こちらへ駆け寄ろうとした七瀬くんのスーツの腕をすかさず藤間さんが両手で掴み取った
「今日、就業後に待ってます七瀬さん」
「……っ! 行かないって言ってるだろ」
その手を振り解いた
「名取さん、悪いけどセッティングお願いしてもいい? 私は先に給湯でお茶の準備しておくから」
「はーい」
とにかく平常心でこの場を離れた