七瀬クンとの恋愛事情
「藤間さんが言った本当の俺」
そう言って二人からは見えないところで座ったままの私の手を取った
「へっ?」
引っ張り上げられた私は七瀬くんと藤間さんたちの前に出ていった
「えっ、松原主任?」
予想外な私の出現にさらに頭を傾げる二人
「俺だけが変態扱いされるのは構わないけど、このままだとこの人にも影響が出そうだからこの際ハッキリさせることにするよ」
「……………っ」
手を繋いだままでそんな事言われると、少し戸惑った表情に変わる藤間さんたち
「でもここで言ったんじゃ効果ないから、部署まで行こうか」
「ちょっ、七瀬くんっ」
彼の行動に引っ張られながら七瀬くんの部署のフロアーに連れていかれた
「…………」
定時で帰ろうとしている社員とこれから残業を始める社員が入り混じるこの時間帯
ある意味日中で一番リラックスしているこの状態で、
七瀬くんが私の手を取って部署に入ると
騒めいたフロアーで、一瞬の注目を浴びた
「松原主任…いや、今は就業外だから倫子さん」
私の方へ振り返った七瀬くんが向き合いながら顔を正面から寄せる
「俺と、付き合って下さい。」
そう言いながら頭を下げた
びっくり。
いや、これから何かやらかすつもりで連れて行かれるとは思っていたけど
コレは不意打ちなわけで
周りの息もピタリと静まった