七瀬クンとの恋愛事情
「言ったでしょ?両親が再婚だって。だから俺はいい子で理想の子じゃなきゃいけないから、倫子の父親の息子として養育してもらってる身としてはね」
「あ、」
え?なんか結構いきなり重い感じで来たけど、倫子さんの父親って複雑な環境?
少し声のトーンを落としながら弟徹也がテーブルを挟んで俺に顔を近づけてきた
「要するに、血は繋がってないわけ。俺と倫子」
「……は?」
なにが言いたいんだ?この弟…
「あっ愁士くん、終電まではまだ時間あるよね」
キッチンから顔をだした倫子さんが何も知らずにその会話を遮った
「いや…うん」
さすがに身内が入るとこに図々しく泊まるのもなんだし、確かにまだ終電にも時間がある
でもさっきの弟の言い方も気になる
「俺、この歳まで部活部長に生徒会やガリ勉通して父親に対していい子やってたから、女の子知らなくてさぁ」
なんだ、いきなり小声で詰め寄ってきて男の相談ってやつか?
つい歩み寄られたと思いフンフンと同じように顔を近づけた
「そうなの?なんか意外だなぁ」
いやいや、いくら忙しくたって君はモテるだろう
見た目俺と同じくらいの身長でその体格なのに顔だってベビーフェイスのイケメンなんだから
それより俺にはその父親が気になるが
「だから今日はあんた帰って来んない?俺、倫子に筆下ろし頼むつもりだから」
「……は?」
今なんて言った?
聞き間違いかと呆然とする俺に更に身を乗り出して近づきニッコリと笑いながらゆっくりと口を開く
「ふ・で・お・ろ・し。脱チェリーってやつ?」