七瀬クンとの恋愛事情

「七瀬くん、後でね〜て書いてあってハートにキスマーク付きだぁ、これって合コンの戦利品ってヤツ?この明日香ちゃんって何歳なんですか?」

渡そうとしていたそれをヒラヒラと上に上げて俺にみせてきた

「はっ?!な、それ違っ!」

明日香って誰だよ?!

イヤイヤ知らない。
知ってるけど確かに山下さんに知らずに連れてかれてはめられた合コンで、そんな名前の子が居たかもしれないが、隣に座ってきたナヨナヨした女の子を避けるようにタイミングをはかってすぐに抜け出してきたから。
まさかあの状況で抜け目なく入れられたていたとはっ


倫子さんへ渡る前に長い腕を伸ばしてそれを取り上げくしゃっと握り潰した

「倫子さん、これは違うくて…」

焦った俺を横目に弟徹也はニヤニヤと笑う

くそっ、どうせ勝手に人のジャケット探りやがったんだろう

焦る俺をジッと見つめる倫子さんが小さく溜め息をついた


「どうせ合コンだって知らないまま山下くんに連れて行かされたんでしょう?ったく、勝手に当たり要員にされちゃうんだから、山下くんにも困ったものね」


「…ははっ……すみません」

そうゆう事、やっぱり分かってらっしゃる

握り潰した紙はもう一度破ってゴミ箱に捨てて、一応まだ入ってないかジャケットやパンツのポケットを確かめた

「しばらく山下さんとは俺飲みに行かないっ」

「別にそこまでしなくてもいいわよ、付き合いは大事だし。でも山下くんにはとりあえず脇谷くんにちょっと仕事量の調整してもらおうかな」

そう言ってニッコリ笑った


さすが倫子さん……
山下さんは敵に回す相手を間違えたらしい。


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