七瀬クンとの恋愛事情

「ええーっ、それだけ?」


俺たちのそのやり取りを見て不満気に肩を上げる弟徹也に倫子さんが目を向けた

「徹也、大体あなた愁士くんの服の中勝手に物色したでしょう」

「浮気してたのに許すんだぁ」


この弟徹也はトコトン俺が気に入らないらしい


「浮気じゃないし、こんな事くらいでグダグダ言ってたら愁士くんとなんてやっていけないからね」


「へぇ〜……」

なんだか納得したのかどうか、意味あり気な目で俺を見ているが、いやまだ終わってない

弟とは最初の話からいつの間にすり替えられて、しかも倫子さんを怒らせて俺を泊まらせないつもりだったのか

とにかく納得出来ない事がまだある

「倫子さん、弟とはそのっ……」

家族以上のほどこしを求めらたらやっぱり血が繋がってないわけだから……



「徹也のそうゆうとこって父さんそっくりよね」



そう、弟は倫子さんのお父さんからのしがらみから姉を毒牙にかけようと……ん?

って、そっくりってのはおかしくないか?
だって彼はお母さんの連れ子だろ?血が繋がってなくても似てることってあるのか?


「ただ姉を心配してるだけじゃないか。姉弟とは言っても物心ついたころにはもう家を出て行ってたんだからさ、どこの馬の骨に持ってかれたらって」

「………」


「馬の骨って、私はもう31だし。その辺はほっといて欲しいんだけど」


なんだか家族の会話に俺の入る余地がない


「そう言う徹也こそ、恋人の杏奈ちゃんとはどうなのよ?大学から遠距離になったりしないの?」

< 388 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop