七瀬クンとの恋愛事情
普段クールと言う訳じゃないが、始まって1時間以上経っている宴会場なだけに、彼はまだテンションなんて上がってこないんだろう
が、
周りはそれを許さないらしい…………
「なっなせぇ〜っ!こっちこっちぃ」
いろいろなグループから彼に声が掛けられる
「…………七瀬くん、あっち呼んでる」
たぶん聞こえてはいるんだろうが、それを無視して黙々と食べ物を頬張る彼を、見守るようなみんなの視線が痛い
「ここでいいっスよ、別に」
ボソッと食べながらそう呟く
「相変わらずマイペースな奴だな」
身体を完全にこっちに向けた高科課長が声を張ってそう言う
確かに、諦めの悪い彼への呼び声はちょっと鬱陶しいが、
「人気者はほっといて、とりあえず飲むぞ。さっきの話だが、お前の春は案外周りにいたりするかもな、倫ちゃん」
私の頭をくしゃくしゃと掻き揚げ、声を上げたまま
高科課長のこのテンションも、いつもながら困ったもんだ
「松原主任より、高科課長はどうなんですか?」
頭に乗っかった高科課長の大きな手をなんとか避けている私の横から、課長の話を遮るようにこっちを向いた七瀬くん
私の座高よりはるか上にあるその瞳が、私を含め高科課長も捕らえている
「主任に助言できるほどの恋愛してるんスか?高科課長って」
おお、さすが身体のデカさに比例するほどの態度だな
なぜか一瞬高科課長が引いた