七瀬クンとの恋愛事情
覗き込まれた近さに、顔が離せない
瞼を下げると、さらにその逸らせた視線を追い掛けてくる
「それとも、俺にかまって欲しいってこと?」
「あ、ゃ……………っ」
その色気のある男性特有の低音の声が
高鳴っていた心臓の中で、ゾクッと身体全体に電流が走った
訳の解らないそんな邪な自分を隠すように七瀬くんからまた視線を逸らし俯いた
「そっ、それが七瀬くんの彼女さんならきっと幸せだろうなぁって思って」
「彼女は、今いませんけど?」
思わず顔を上げた私の上から低音の声が囁く
「気になる?」
目を合わせたその瞳に引き込まれる
「え…いや…」
頰が恥ずかしさでチリチリと熱くなっていく
「倫子さん…顔真っ赤だよ」
雰囲気に流されているのは、わかっている
身体を傾け乗り出してきた彼の大きな手は、
ゆっくりと私の頰に伸び、逸らすことの出来ない彼の瞳は、拒否しようとする私の気持ちさえ簡単に消していく