七瀬クンとの恋愛事情

「なんか…あの、近いよ……」

弱々しくそう言いながら、どこか期待している自分がいる

「………近づいたら、ダメですか?」

そう言って頰に触れている彼の指が私の唇にふれると、湧き上がるように敏感にピクッと反応してしまい目を見開いて肩を上げた

「今、スイッチ入れたの倫子さんだからね」

私の顔をジッと見つめながらその口角を上げた

気がつけば年下イケメンからのタメ口……
って、これはヤバい


そのままゆっくり落ちてきた七瀬くんの唇は一瞬引いた私に躊躇しながら軽く重ねてくると、一旦離れてまた私の目を覗き込む

そして
次には唇を優しく啄むようなキスをしてきた

そのキスの感触に忘れかけていた身体中の熱が上がる

「口開けてよ」

回った彼の腕に身体を引き寄せられ、何度も落ちてくる濡れた唇と息を吐くような低音の彼の声に、まるで自分の思考回路が薄れていく

「ん……はぁ、」

誘われるまま絡ませてくる彼の舌に無意識に応じていく自分に、気持ちが一瞬高鳴っていく

「………倫子さん」

彼に回された腕を支えにゆっくりと床に敷かれ
背中にフローリングの感触が伝わった時、

小さく「カタンッ」と音がして
ふと我に返った


「あ、えっ…や、ちょっと待って…………」


すでに私の上に覆いかぶさり、パジャマ用の部屋着の中に進入しようとする彼の指先に気がついて、

思わず抵抗するようにその手を押さえ避けて、身体を捩らせた

「七瀬くん………待って」

その抵抗にそっと顔をあげた

「大丈夫、」


「えっ?」

大丈夫?ってなにが?
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