七瀬クンとの恋愛事情

「それはっ、まあそれなりにな……」


「えっ課長ってそうゆう人いたんですか?へぇ」

会社では人のこと弄っておいて、全然気が付かなかった
感心しながらつくねを色気なく口へ頬張った

「へぇーって、いやあのな…」

「それって社内の人ですか?」


間髪入れずにそう聞く七瀬くんが、
微妙に表情の曇る高科課長を私の横から覗き込んだ


なんか高科課長がちょっと追い詰められてるっぽいけど、本当に社内の人なの?


「あ、私応援しますよ。どんな人なんですか?」

そう言う私の口元にスッと七瀬くんの指先が言葉を遮るように伸びてきた

「ダメですよ主任。
簡単に人の恋路に関わったりしちゃって上手くいかなかった時、可哀想じゃないですか」

「七瀬くんっ」

部署は違えど先輩であり上司に対して、
いくらキミがモテて豊富な恋愛経験を持っていようが


「そうゆう言い方は年上に対して失礼だし、配慮が足りないよ」


「……………」

私の一言で口を閉ざした七瀬くんを前に、片手で顔を覆い溜め息をつく高科課長

「配慮ってそれ、余計に傷つくんだけど……」


「あ……え?」


溜め息をついて項垂れる課長を横目に、手酌で私が使っていたグラスにビールを注ぐ七瀬くん



10歳差のあるこの独身男性社員は2人共
社内ではもともと目立つ人物なんだよな


七瀬くんはやっぱり若いし怖いもの知らずだ


高科営業課長は、まあ………
熱血営業マンってイメージで、早いうちから課長に収まり、評判も人当たりもいいが
20代の若者に対して多少厳しいところのある極一般的な上司だ。面倒見のいいだけに若者からの受けも良いし

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