七瀬クンとの恋愛事情

「えっ、あ、カラオケ?」

一瞬にして思い出すあの日の出来事

でも七瀬くん、本当はみんなと一緒にカラオケに行きたかったんじゃないんだろうか、なんて

「…………」

今日会ったら、どんな顔すればいいんだろう


「あの時は眠り込んでる主任を、高科課長がタクシーで送って行くつもりだったんですけど、でもそれを七瀬が
『自分が起こして二次会に合流するから』
って、だからみんな先に行って待ってたんですよ」


「は、七瀬くんが?」

歩きながら私の知らなかった現状を聞いた

「それにちょっと揉めたんですよ。高科課長は酔ってるからって、七瀬が課長の腕引いてダメだって珍しく怒って……」


私の分のお金を建て替えてくれたのもやっぱり同期の脇谷くんで、その後
『中堅は帰らせてもらうよ』なんて言ってそのまま高科課長も連れて帰って行ったらしい

まあ、脇谷くんはただ新婚の自宅に早く帰りたかっただろうけど


「……ごめん、なんか迷惑かけたみたいで」


「いいんですよ、だってヤケ酒だったんですよね?」

少し私に顔を寄せてこそりとそう言ってきた

「え?」


「高科課長に聞きましたよ主任、
結婚するつもりだった外資系企業エリートサラリーマンの彼に失恋したんでしょ?だから荒れてるんだって」


「…………」

なんか、勝手に私が振られた事になってる
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