七瀬クンとの恋愛事情

だけど、ここでそうじゃないとも否定できない

哀れんだ様な彼女の瞳を、引きつった笑いで誤魔化すしかなかった


「でも、あの後どうしたんです?
そのまま帰ったんですか?七瀬と………」

「ああ、それは……」

古坂さんが顔を伏せながら横目でチラリとワザとらしく視線を向けて、少し口を尖らせていた

ああ可愛いなぁこの子ってこんな顔もするんだ
気になるのは私と一緒にいた七瀬くんだろう

私がまさに目撃した、給湯室で七瀬くんに告白してた本人だもの


「あーっあの後ね、私が溢したお酒で七瀬くんのスーツが濡れちゃって、だからタクシーに乗って帰ったのよ」


「一緒にですか?」


「うん、家の方向が同じだから………」

なんか、疑ぐる様な目で覗き込んできたけど

さすがにその外資系に待ち伏せされ、助けてもらった上に部屋に泊めてキスして添い寝してもらったなんて

…………言える訳ないっ!


「………七瀬ってよく会社の飲み会に参加するくせに、会社の女の子は送って行ったことないんですよねぇ、そこは徹底してて
あわよくばって考える子たちがみんな撃沈してるんですよねぇ」


「…………へ、へぇそうなんだ」


「松原主任だけは特別なんですかねぇ?」


「……………」
< 56 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop