七瀬クンとの恋愛事情



「ああ、でも俺彼女が出来たから」


ん?

「は…………ええっ!!」

後ろを歩く私まで心の中で同じ反応をした


「いつ?! 休みの間?!誰?!社外の子?!」

さっきまでの彼女の笑顔が一瞬にして曇った

興奮気味に七瀬くんに詰め寄る古坂さんに対して、彼はシレッとしている



それ以上は答えないつもりなのか、ひと息大きな欠伸をしながらゆっくりとこっちを振り返った


「主任」


「……え、はい?」

「この前のシステムエラー対応の報告書を朝一で書きたいんですけど、イマイチ問題の現状が分かりづらいので、過去のあの会社のトラブル資料探したんですけど、どこにあるか分かりますか?」

「えっ?あれは、資料室の第3棚になかった?確か下の方にあったはず」

「見つからなくて、後で一緒に探して貰えます?」


「え、あっうん、わかった」

そう応えると、身体を翻して会社ビルへ入って行った

7、8人で一杯になるエレベーターに乗り込んで、古坂さんとともに私たちは置き去りにされた


その場が動けずにいるのは古坂さん同様私もだ


なんだ、彼女出来てたんだ
じゃあやっぱり連絡しなくてよかった



なぜか胸の中でチクチクと一点集中にマチ針が刺さる感覚がして、痛み出した胸ををグッと押さえた


………チャラい

やっぱりチャラ過ぎるだろ?!
彼女が出来たとか

まあ、でもあのコン○ームを持ち歩くフットワークがあるんだから仕方がないよね

全く………若いし、軽いな

人に『会いたいから』とか言っといて、ちゃっかり彼女作ってたなんて………

お姉さんの話ししてた七瀬くんは凄くイイなって思ったのに
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